全て失うわけではない?自己破産で財産として残せる自由財産とは
自己破産では処分されるものとそうでないものがある
財産がある場合処分の対象となる
滞納した借金の支払いが厳しくなった場合に行う債務整理として自己破産という方法があります。手続きを始めるにあたって、その前にまずは弁護士と相談して自身の様々な資産に関する資料を提出することになります。
その中の一つに財産目録というものがありますが、これは預貯金から動産、不動産まで自身の持つ財産を全て記載するものになります。そして裁判所はその財産目録を確認して財産があると判断しますと、その自己破産手続きの種類を「管財事件」とします。その後破産管財人を選任して管財人が財産を処分して債権者に対して分配します。
債務整理を行う以上債権者に対する返金は事実上難しくなるため財産を処分して少しでも返そうということです。ちなみに処分できる財産が何も無い場合は手続きの種類が「同時廃止」となり、差押自体も行われません。
処分の対象にならない財産がある
とはいえ財産だからと全てを処分されたのでは申立者は破産後に生活ができなくなってしまいますし、上手く免責を受けても裁判にかかる費用は別途支払う必要があるため生活が苦しいものとなるでしょう。そのため、自己破産での財産の中には予め処分の対象とならないものが指定されています。これが「自由財産」で自己破産で残せる財産です。
気になる自由財産になるもの
生活必需品や仕事道具
民事執行法には差し押さえてはいけないいわゆる差押禁止財産というものが規定されています。これは主に差し押さえることによってその後の生活が難しくなるもので、例えば服やタンス、冷蔵庫、テレビなどの家電から技術職人であればその商売道具などがこれにあたります。
よくテレビなどで差押として家財道具一式もっていかれるといった表現がありますが、実際はこういったものは自由財産として認められています。ただ、差押禁止財産でも必要以上ある場合は処分の対象となります。例えばテレビなどは複数ある場合は自由財産として認められるのは一点のみとなりますので注意が必要です。
99万円以下の現金
自由財産として認められるものにはお金もあり、これは破産後の生活に必要最低限、必要な分だとされているためです。現金については実はこれも差押禁止財産として民事執行法に規定されているのですがこの額は66万円です。
しかし自己破産で適用される破産法ではその額が民事執行法で規定されている額の2分の3まで認めるよう規定されていますので、66万円の2分の3で99万円ということです。そして注意したいのが「現金」という点で預貯金はこれに該当しませんので注意が必要です。
とはいえ自己破産を決めた後に預貯金をおろすと裁判において認められないこともありますので普段から少し多めに残しておくといった心がけでいるといいでしょう。
破産手続き後に取得した財産
破産手続きを開始した後に取得した財産は「新得財産」といい差押の対象となりません。働いていて給料をもらっている場合に気になるのが、毎月の給料はどうなるのかといった点ではないでしょうか。給料については民事執行法において4分の3相当の金額は差押禁止財産として規定されています。
そのためもし月あたり20万円得ていた場合は5万円程差し押さえられる可能性があります。しかし、破産手続き開始後に関しては新得財産となりますのでそもそも差し押さえの対象にはなりません。また債務整理前に給料の差押を受けていた場合でも破産開始時に中止されますので満額受け取ることができます。
差押禁止じゃなくても認められる場合がある
財産に関しては差押禁止なもの以外にも管財人の判断により自由財産として認められるものがあります。これが「自由財産の拡張」で、規定により差押をすることでその後の生活が成り立たなくなる場合に認められることがあります。
それは例えば自動車が生活のためには必須の場合であったり、保険を解約することでもらえる払い戻し金になります。また、払いすぎた金利分の過払い金の返還については未回収のものは認められない可能性が高いです。どれもアピールをしなければ認められませんので弁護士と相談して必要なものだと示す必要があります。
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